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夜半(樊孔)

樊孔。仲が良いんだか悪いんだかわからないふたり。



冬、深更。肌を刺す冷気は驚くほど澄みきって、闇よりも暗い。
だが水を瞬の間に氷に変えるような外気も、世界最新鋭の設備を整えた空間にはほんの1ミクロンたりとも影響を及ぼすことはできない。正確なコンピューターに動かされたエアーコンディショナーは狂うことなく屋内を寒くも無く暑くも無くに整え、ひとつの塵も空気中に揺らぐことを見逃さない。
 透き通った空気ゆえ良く見える半月を後ろに、樊瑞はある部屋の扉を開けた。ノックをしないのはいつものことで、そうやって入るとノックをするよう部屋の主に諭されるのが常の最初のやり取りである。が、今日に限っては何故かそんなことは無かった。

《夜半》


 不思議に思い前を見遣るとすぐに理由はわかった。樊瑞はゆるりと足を進めた。履き慣らした黒い革の靴の音が、柔らかな絨毯に吸収される。
樊瑞がそこに立つと窓から覗く月明かりからそれを隠すように、そこに濃い影が落ちた。
 そこには机に臥して眠る部屋の主がいた。
珍しいこともあるものだ、と樊瑞は驚きつつ、その穏やかな寝顔をしげしげと眺めた。
腕のすき間からちらりと覗く長い睫毛に、静かに強い輝きを秘めた特徴的な青の瞳は今は見えない。
 そして常は髪で隠れて見えない項が、今日は寝乱れた髪のせいで見える。樊瑞はそれをとっくりと見つめたと思うと、今度はおもむろにそこに唇を落とした。
柔らかく、緩く、吸い上げる。一度離して同じ所をまた、今度は音のするくらい強く。
「――樊、瑞殿?」
青の瞳が光を取り戻した。まだ少しぼんやりとした感じで樊瑞の方に視線を巡らす。
「起こしてしまったか」
「ン…、何」
 覚醒しきっていない頭でも樊瑞を引き離そうと腕がゆるゆると抵抗を始める。しかし樊瑞はそれを軽く抑えて「折角の据え膳故、食わねば勿体無かろう」と言う。するとその言葉で察しを付けたのか孔明はもぞもぞと少し動いたかと思うと「せめてベッドで」と小さく呟いた。
「我慢できん」
「‥‥――は、嫌です」
 珍しく誘いに乗ってきたかと思ったが何かが気に入らないようで必死に腕から逃れようとしてくる。しかし普段頭脳労働しかしない孔明の細腕では到底樊瑞の鍛えられた腕からは逃れられるものではない。樊瑞はひょいと孔明を持ち上げると先程まで孔明の座っていたやわらかな椅子に腰かけ、自らの膝の上に背を向けるように孔明を座らせた。


「ア…、嫌です…」
 すかさず首筋を舐めるとふるふると薄い肩を震わせ始めた。その様子に味を占めた樊瑞はいそいそとそのシャツのボタンを外すと胸の敏感な器官に手を伸ばした。
「ン!…っヤ‥!」
 片方しか刺激してやらないともう片方が疼いてしまって仕方ないようで、恥ずかしそうに頬を赤らめている。
「……孔明、どうしてほしい?」
言わねばこのままだぞ。と耳に送り込むとそれだけで感じてしまうのか小さく可愛らしい声を上げた。こんな身体にしたのはまさしく自分なのだが、つくづく感じやすい身体だと思ってしまう。
「――嫌‥です」
 上がった息の中から呟かれたその言葉に樊瑞は眉をしかめた。一体先程から何が嫌だというのか。
「ここでは、嫌です‥!」
 すると漸く鈍い樊瑞にも察しがついたようで、「この場所が嫌なのか?」と聞いた。そう言えば孔明は、先程からずっとそう訴えているだろうと言うような涙ぐんだ瞳で樊瑞を睨みつけてきた。
 一体何がそれほど嫌なのだろうと考える樊瑞の目にふとある物が見えた。それはほんの少し前まで孔明の寝ていた机である。机の上には書きかけの書類やら愛用のペンやらが無造作に散らかっている。
なるほどそう言う訳かと樊瑞は全てに納得がいった。
 ボスの次に位置する参謀、BF団の策士という鎖でがんじがらめにされたひどく理性的で合理的な判断を要求される立場と、男の腕に抱かれ悦びを感じてしまう非生産的で退廃的な生理がこの場で肌を合わせることで交差してしまいそうで嫌なのだろう。
 尚も孔明は濡れ光った瞳で訴えを続ける。しかしそれはわざと見ないふりをして、「ベッドまで我慢できん」と再び胸の飾りの片方のみを愛撫し始めた。
嫌嫌という声を耳にしながら赤くしこるまで刺激し続け、そうしてから放り出していたもう片方をやっと触った。
「あぁ…っ!」
 孔明からどうしても耐えきれない熱い吐息が漏れた。
 薄く開いた唇を逃がさないように舌を差し込んだ。
 胸も弄ったまま、舌を絡め、吸い上げる。すると孔明の表情が蕩けたようになった。が、その瞳はまだ理性的な光を消していなくて、もう大した力も残っていない腕の力で樊瑞を退けようとしてくる。
しかしそんな抵抗は樊瑞にとってささやかな風のよう。抵抗をものともせず、樊瑞はシャツとズボンと、着ているもの全てを剥ぎ取ると形を変えた孔明の熱を手に取った。
「ッ‥ヤぁっ‥!」
 ひたひたと溢れ出る先走りの液で指を濡らすと後ろの蕾に中指を挿し入れながら背の真中のすっと通った筋に舌を這わせた。


その瞬間、孔明の背筋をぞわりと、堪らない感覚が駆け上っていった。
「ン、だめっ!」
 身体はすっかり快楽に呑み込まれているのに、鉄のような理性がどうしても僅かに溶け残ってしまって、どうしてもこの場所は嫌だと叫ばずにはいられない。
二本目の指を咥えさせられて、奥のしこりを刺激されれば、更なる快楽が押し寄せてくる。そして三本目の指が侵入してナカをぐちゃぐちゃにかき混ぜられれば、容赦ない快楽が濁流のように孔明に襲いかった。 そのうち全ての指が引き抜かれ、代わりに当てがわれたのは指とは比較にならないくらい熱くて太いモノで、
「嫌だという割に、ひくついて、欲しがっている」
 樊瑞がそう言った。言われずとも自分の身体故、そんなことは自分が一番わかっている。身体はすっかり樊瑞の与える快楽に蕩けてしまっていることくらい、わかりきっている。
「っく…、ア、」
 ゆるゆると熱杭が侵入を始めた。
太い亀頭が入口を思いがけないほど広げるとつい息が詰まる。しかし既にその感覚に慣れてしまっている身体はすぐにそれを悦楽に変えてしまう。
「やぁ、‥ハ…、ッあ、ぁ」
 ゆるりゆるりと樊瑞が腰を進めるのに焦れ、自ら腰を振って身体の奥まで肉棒を咥え込んでしまいたくなる衝動に駆られる。が、瞼を開ければ網膜に執務机が写り込む。作りかけの計画書、愛用のペン。理性が再び元の形を取り戻してきて、こんな状況になっても樊瑞を拒否するよう訴えかける。
 しかし熱杭はすっかり身体の最奥まで辿り着いてしまい、身体はより大きな快楽を求めて小さく震えてしまっている。
「ハァっ‥ぃや‥っ、ア、…うごかな、‥で‥!」
 理性と本能がぶつかりあって、このままでは頭がおかしくなってしまいそう。しかし身体は心とは裏腹に樊瑞を求めてしまう。
 熱い吐息が耳元にかかると同時に樊瑞が腰を送り込んできた。
「ゃあッ‥、アッ!やめっ‥ひあぁッ!」
 時間をかけて樊瑞に作り変えられてしまった身体は、すっかり馴染んでしまった、常人よりも太い雄芯に軽く揺すられるだけで自身から欲の液を垂らし、内壁は全長に絞るように絡み付き、口からは抑えることのできない悦楽の声を漏らした。
 軽い抽挿からしだいに膝裏を抱えられ、より深く熱杭に貫かれる激しい運動になると、もうあまりの快感に樊瑞のことしか考えられなくなり、眼も開けていられない。
「ンっ‥もぅ、だめ。はんずい、ア、アッ‥!」
 がくがくと、もう抑えようもないほど身体が震えてしまって、耳を甘噛みされながら「出していいぞ」と言われれば快楽に浸された身体は簡単に精を放った。と同時に樊瑞も達したようで、熱い精液を孔明のナカに注ぎ込んだ。
「ひぅッ!あつぃ‥ンン!」
 瞬のふいに口付け。熱い舌が絡まって、蕩けるような心地よさ。
しかしいい加減後ろを向けている首が苦しくて、やっとのことで口付けから逃れた。正面を向いて一息ついて、そして瞼を開けると、目の前には変わらずペンと紙の散らかった執務机があった。
 全身を覆う汗が一気に引いた。
溶けていた理性が急速に固まって、とにかくこの熱い腕の中から逃れないと、と脳が警鐘を鳴らした。
「嫌っ‥!離して!やだっ、ああぁっ‥!」
 孔明の反応を見て急に樊瑞が熱棒を引き抜きはじめた。ナカに収まっていた白い粘液が内腿を伝わって流れだした。思っていたよりも大量の精液が漏れる感覚に、孔明は言いようもなく肌が粟立つのを感じた。
全長が全て抜かれると、それは達したばかりとは思えないほど固くいきり勃っていて、今度は樊瑞と向かい合うように座らされ、再び肉棒を咥えさせられた。
 一度その快楽を味わった内壁は一度くらいだとむしろ満足できなくて、再び太いモノが埋め込まれたことに身体は歓喜の悲鳴をあげた。


 樊瑞と向かい合うことで視界から机は消えた。しかし今度はまた新たな問題が起きた。というのは、椅子の座面は樊瑞の足に占領されていて、とてもじゃないが孔明がその足を跨ぐ空間はない。なので必然的に樊瑞の足の上に体育座りのように座り、その胴に脚を絡ませ体勢を保つしかない。しかも体勢の都合上、樊瑞にしがみつかないとそのまま後ろに倒れてしまう。今まで何度も肌を合わせてきたが、かつてないほどの密着感に不自然なほどに心臓が高鳴った。
「ア‥」
「孔明‥」
「やッ‥、だめ。まだ動かないで‥」
「そんなこと言って、ナカが絡みついてくるぞ」
「ンンっ!あっ‥!だめっ、やぁんっ…!」
 興奮を抑えきれないのか急に尻を掴み揺すられた。樊瑞はほとんど腰を動かさないで、自分ばかりがこんなにも動かされていて、まるで自ら求めて腰を振っているよう。離れがたいように腕を回して上半身まで密着させて、上半身も下半身も、身体全てを樊瑞とぴたりと合わせて。繋がった部分が溶けたように熱くて、本当にひとつになってしまったのかと思えてしまう。
「アッ‥、はぁ‥ン!はんずい、ゃあうっ!」
 快感に酔いしれ喘ぎが止まらない中、口付けを求められる。あまりの密着感、空気が足らなくて唇から逃れようとしても追いかけて追いかけて吸い上げてくる。しかもその間にも熱棒は確実にナカの性感帯をぐりぐりと攻めあげるものだから、身体がおかしくなってしまいそう。
「ンッ、‥ふぅ、っぁ、ンン‥、っはあ、ア!」
 ようやっと唇を解放されたが突き上げがなくなったわけではない。むしろ快楽を感じる点がナカの一点に集中してしまい、先程よりもさらに強い快感が押し寄せる。はじめは樊瑞によって動かされていた腰が、いつの間にかその手が離れ、自ら腰を振ってしまっている。こんなにも貪欲に求めてしまって何と浅はかな、と思う理性はもう欠片も残っておらず、ただひたすらに快楽を求めてしまう。
「アッ、ア、はぁっ‥も、だめぇ‥イク、はんずぃ、はんずいっ‥ッ!」
 歓喜の嬌声と共に、孔明は再び極みに達した。白い粘液がふたりの腹を汚すと同時に樊瑞もナカの締め付けに耐えかねて、また孔明のナカに欲望の証を注いだ。
 二度も果て疲労困憊の孔明がぐったりと樊瑞に身を委せるようにもたれかかって息を整えていると、何とまたすぐに樊瑞はその肉棒を孔明のナカから引き抜いた。
達したばかりの身体ではそんな僅かな刺激にも大げさな反応になってしまう。今度は一体何がと回らない頭で考えたが、孔明には思いもよらなかったことが起きた。
樊瑞は白濁にまみれた孔明を、ふわりと愛おしそうに抱え上げると、歩を執務室の端に進めた。
 そこには備え付けの、仮眠用の寝台が置かれていた。もっとも、仕事熱心なこの部屋の主はほとんどこれを自ら進んで使用することはない。利用はもっぱら夜半に樊瑞が訪れた時。
 樊瑞に抱かれるのが嫌なら、どうせ使わない寝台なら早々に撤去すればいいのに、いつまでたってもそこに寝台を置いておくのは、それは――。
 優しく寝台にその細い身体を横たえると、樊瑞はその上に覆い被さった。
「お主の希望のベッドだ。…夜はまだまだ長いぞ」
 頬を緩やかに触りながらそう呟く。その手は本当に優しくて、囁きかける瞳も凪のように穏やかで。でもこれからまたしようとする行為はきっと気を失うほど激しい行為なのだろう。
「だめ、樊瑞殿…もう無理…ッア」
 しおらしくそう呟いた所で樊瑞は待ってはくれない。わかりきっていたのに、でも呟かずにはいられないのは、つまり――。


孔明が意識を取り戻したのはもう外がすっかり明るくなった頃。薄く眼を開けると日の光が眩しく、疲れた身体はまだまだ休息を要求してくる。
 しかし流石に冬のようで、樊瑞は全く何を考えているのか、二人で素肌に布1枚だけで寝ていた。これではは寒くて寒くて仕方ない。と、思ったら後ろから我が身を抱く腕がとても温かいことに気が付いた。きっと体温が高いのだろう、胸の方はさらに温かい。普段なら絶対にこんなことはしないのだが、このままでは寒くて風邪をひいてしまう。そんなことになったら何としたことか。
 樊瑞が起きるまでこのまま、と孔明はその温かな胸に収まるように身体の向きを変えた。もっと身体を密着させればさらに温かなのだろうと孔明はその逞しい身体に腕を絡ませ……。
「おい、いい加減にしろよ」
 突如、思わぬ声が部屋に響いた。ギョッとした孔明は身体がだるいのなんぞ忘れ、急いで掛布で身を隠し、身体を起こした。するとそこには仁王立ちして苛々を仮面の下から全面に押し出したマスク・ザ・レッドが立っていた。
「どれだけイチャつけば気が済むんだ。もうイイ歳だろうに」
「なっ…!何を…、いやその前に何故貴方がここに…?!」
「報告書の提出だ。毎回毎回うるさく出せ出せ言うから、今回こそ心を入れ換えて任務が終わってすぐに持ってきてみればコレだ」
 夜中から明け方まで何回ヤレれば気が済むんだ。私がいなければ朝からまた一発ヤル気だったのか?一体何時間待たせる気だ。と言うレッドの言葉に孔明は熟れたトマトのように顔を真っ赤にして「ぜ、全部見てたのですか?!」と叫ぶ。するとレッド、小さく鼻で笑ってから曰く、
「天下の鬼才も、夜は従順に悶え喘ぐとは‥。策士と言えども人の子か」
と、ニヤニヤと嫌な笑顔を口元に浮かべた。
 昨夜の行為を全部見られていたのかと思うとあれよあれよと次々にその生々しい記憶が蘇ってきて……。
 孔明が怒りのままに護衛団を呼ぼうとした瞬間、「報告書はコレ。もう二度と報告書を持って閨を邪魔するようなことはせんから、二人仲良くやれよ」と影に溶けるようにレッドは去っていってしまった。その言い分は、レッドはもう二度と任務完了後すぐには報告書を提出しないし、また言い訳無しに閨を覗きにくると言っているようにも聞き取れ、孔明の怒りの炎に油を注ぐようなものであった。と、頃を同じくして隣で眠っていた樊瑞が寝ぼけ眼で「孔明、」と呟くや再び孔明を布団の中に引っ張り込んだ。朝からこの男は一発おっぱじめようと言うつもりなのかと、怒り心頭の孔明は護衛団を呼ぶや否や、「一体どうした孔明!?」と叫ぶ男を真っ裸のまま窓から外に突き落としてやった。
こんなことしても三千丈の怒りはまだまだ一向に収まりはしないが、やらないよりはいくらかマシだろうと孔明は思った。

 それからしばらく、樊瑞はドアの外と中で待ち受ける護衛団のせいで執務室に入れてもらえなかったとか。
 しかし再び執務室に入れた時、やはり執務室には変わらず寝台が置かれていたらしい。そう、それはつまり、――。



《終》




特に内容の無い話で申し訳ありません(汗)
あと最近にしては短めの話で…。

喘ぐ策士が書きたくなって突発的に書いたものなんで、話がお粗末なのは目を瞑ってやってください。まァあんまり喘いでないですけど(震)

策士は無双孔明よりも声を我慢しそうなんであまり喘ぎを入れなかったのですが(策士の喘ぎが書きたかったのはどこのどいつだ)、逆に感じるままに喘ぐ策士も捨てがたいです。次回はそんながイイかも(※「かも」ですよ)

策士が魔王を呼び捨てにするのはコトの時だけです。ギリギリすぎて敬称をつけてる余裕なんか無いんです。
ベッドの件でツンデレ感がうっすらだけ出たんじゃないかなァと丈は思ってます。ヨーグルトのうわずみくらいうっすらですけど(わかりづらい喩え)
とりあえず久々にイチャついた樊孔が書けて満足です。

あ、レッドはわざとですよ。「わざと」すぐ報告書出しに来たんです。でなけりゃレッドが真面目に報告書なんか出すわけがない←酷い言い方

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