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『馬岱が国にいたようです』本文サンプル

国に正式に登用した形跡が無いのに、いつの間にか国にいた馬岱のせいで一波乱起きてしまいました。劉備さんも出てます←



頬を撫でる風が少し冷たさを含み、ムクドリの声が耳に届きはじめた晴天の日。曹丕の国の国都、会稽の城内は不穏な空気に満ち満ちていた。君主曹丕を筆頭にある人物に注がれる不信の目、目、目。しかし当の本人はそんな視線は全く意にも介さないようで、けろりとした表情を浮かべている。
「やだねぇ、そんなに怖い顔しないでよ~」
どんなに睨まれていつも通りの余裕を崩さないその男こそ、西涼の錦にして曹丕の国一の猛将馬超唯一の従弟・馬岱であった。しかし曹丕だけでなく、大都督凌統や国唯一の良心太史慈、はたまた孔明を狙う司馬懿や周瑜等、そして孔明でさえもこの陽気な男をいぶかしんだ表情で見つめていた。
「……どういうことだ?馬超」
説明しろ、と曹丕はこの男唯一の身内を見遣った。しかし少し離れた所に佇んでいた馬超は眉をしかめ、むしろ曹丕達が不信に思うことの方が理解不能、というような反応を示した。
「どういうことだと言われてもな…。岱がこの国にいる、それだけのことだ」
「私が聞きたいことはそういうことではない。私は『いつからこの男は私の国にいたんだ』ということを聞きたいのだ」
君主筆頭に国中の武将が謎に思っていること。それはつまり、いつから馬岱がこの国にいたのかということである。皆が気付いた時には既に馬岱がそこにいたのである。いつからかはわからないが、政務中にお茶出しをしてくる奴がいる、と思っていて顔を見たら誰だこれ?となったのだ。そして聞いてみたところ馬超の従弟だと言うではないか。
「あぁ、脱モブしたからな、」
「脱モブとか以前の問題だぞ馬超」
不機嫌さを前面に表して食ってかかったのは周瑜。眉間に深い谷を作り、指をせわしなくとんとん動かしている。見てみろ、と周瑜が出してきたのは国の全ての将の名前が記されている名簿だった。誰が今どこに配属されているのか一目で分かるように作成されたものだ。ぺらぺらと捲ってみると無双武将から一般武将までびっしり名前とその配属地域が書き連ねられていた。
「この名簿を見る限り、馬岱という名前はどこにもいない!」
なのに何故!この男はこうも平然とこの場にいるんだ!と力の限り熱弁と奮う周瑜。新参者のくせに孔明に専用セリフを持っていたり!それだけじゃ飽き足らず孔明の方からも専用セリフで話しかけてもらえたり!挙句の果てには特別会話なんかも持っちゃってる奴が、どうしてもってちゃっかり国にいることを容認できるというのだ!
「私なんか未だに孔明に専用セリフで声をかけてもらったことが無いんだぞ!?」
人物紹介図ではまるで私の一方通行のようにしか矢印が書かれていないんだ、孔明は私のことなんか眼中に無いんだと激情家の美周郎は当初感情を怒りに任せていたが、次第に自分の境遇が憐れすぎて自らさめざめと泣きだしてしまった。激情家というよりはむしろ情緒不安定である。


《続》

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