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諸葛亮受けアンソロジー『八卦太極図』寄稿「GW」本文サンプル

交地19(13/5/26開催)で発行される諸葛亮受けアンソロジー『八卦太極図』に参加させていただきました。なんと『スプリング』設定の司馬諸です(『スプリング』設定なので言わずもがな徐孔ベースです)



新年度が始まってはやひと月。季節は花咲き誇る春から、緑の力強く繁茂する初夏へと移り変わっていた。さらに時期は大型連休に入り、しかも今年は曜日の関係で例を見ない超大型連休になっていた。結果、休みも始まったばかりの大学構内は驚くほど静かだった。
そんな中、苛々とした空気を隠すでもなく、大股でずかずかと構内を闊歩し図書館へと進む男が一人。誰であろう、四月より院へ入学した司馬懿である。司馬懿は図書館へ直行するや四人掛けの閲覧用机を陣取るとカバンから論文のコピーや愛用のノートパソコンを引っ張り出し、広い机をあっという間に占拠した。周りには生真面目にレポートなんてやろうという輩がパソコンの所に二人、三人しかおらず、閲覧用机の辺りは皆無に等しい。一人で机を占領したところで文句がある奴がどこにいる、というのが此方の言い分だ。
電源を入れる前に必要な資料を取りに行く。カーペット状の床でなかったら間違いなくドカドカとうるさく音が聞こえていたであろうその足取り。しかしそれすらも気にしていられないほど、とにかく司馬懿は抑えようもないほどにイライラしていた。
(あの教授の下に院生どころか学部生もいない理由がわかったわ!)
カンカンカン、と書庫への階段を降りる足音が高く響く。

院からこの学校に来た司馬懿は、入学当初自分の入った研究室に院生も学部生も全く一人もいなかったことに、少なからぬ驚きを感じていた。昨今、中文の人気が下火ということは分かっていたが、さすがに隣のゼミと合わせて院生二人に学部生一人とは、学部生時代通っていた大学では考えられない少なさである(もっとも、凡愚となれ合うくらいなら一人の方がましだと思っているので具合が良いといったら具合が良いのだが)。しかし幸いなことに同級も後輩も聡い人物であり、今では二人ともすっかり仲間と呼べる、まさに身内のように感じている。
実は、司馬懿はその数少ない中文の仲間から連休前に遊びに誘われていた。


《続》

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