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インターハイに連れてって

大徳工業設定の馬孔です。お二人はデキてるんだかデキてないんだか非常に微妙な感じです。ところで馬超さんが何部なのかわかりません←



虫の声も少しうるさくなってきた初夏。皎々と輝く月の光が、暗闇の中に大徳工業学生寮を浮かび上がらせている。
じわじわと蒸し暑くなってきたその一室で、馬超は孔明を目の前に悶々としていた。脂汗を浮かばせ余裕が無いのは此方ばかりで、相手は冷や汗一つかかずに実に泰然自若としている。
「……孔明、」
「何ですか?」
馬超の額を汗が伝う。
「…………この問題がわからん」
「……どれですか?」
馬超が問いかけると目の前に座っていた孔明は読んでいた本を閉じると身を乗り出してその手元を覗き込んだ。



初夏の夜九時過ぎ。馬超は孔明の部屋で勉強を見てもらっていた。しかしそれは馬超が意外や勉強熱心…というわけではなく、不熱心だったためのことである。
「馬超殿はいつもこの問題でひっかかりますね」
「……こんな問題解けなくても生きていける」
「その『こんな問題』のせいでインターハイに出場できなさそうなのはどこの誰ですか?」
そう言われたら馬超はぐうの音も出ない。この夏、馬超は県大会でぶっちぎりの記録を残してインターハイへの切符を獲得した。全国大会優勝も十分射程圏内にある大徳工業期待のエースなのである。が、ここでひとつ、ある問題が発生した。それは「赤点を取ったらインターハイには出場できない」という校則であった。スポーツでは遅れをとることのない馬超は、やはりというかなんというか勉学の成績は下から数えた方が圧倒的に早い。そして例に漏れずインターハイ前の期末テストで見事に五つの赤点をとってきたのだ。このままではマズいと教科担任もすぐさま追試の準備を行い、馬超も、意外に成績の良い従弟に勉強を見てもらい未だ嘗てないほどの猛勉強に取り組んだのであるが、なんとしかしそれでも一教科、数学だけが赤点になってしまったのだ。これには教科担任も崩れ落ちた。しかしどうにか馬超にインターハイに行ってもらおうと再追試が行われることになった。が、「若が数学苦手なのは知ってたけど、ここまで酷いと俺だけの手には負えないよ」と肩をすくめた従弟は、成績トップの孔明に匙を投げてしまったのだ。



至る現在。馬超は孔明の部屋でマンツーマンの指導を受けている。通常、大徳工業学生寮は二人で一部屋を使用する。しかし代々、生徒委員会会長のみは一人で一部屋を使用することができるのである。相部屋になっている馬超の部屋よりも、一人部屋の孔明の部屋の方が効率も良いいだろうというわけで孔明の部屋で勉学に励んでいるのだ。



「――――そうしたら、ほらできました」
「……むぅ…」
一声唸って眉間に皺を寄せたままの馬超を見て、どうやらまだよく理解できてないですね、と孔明は同じ考え方の別の問題を引っ張ってくるとまた最初から丁寧に解法を説明し始めた。

しかし馬超は、説明をする手元は見ずに、すぐ近くにある孔明の白析の輪郭を眺めていた。下向き気味なので常よりも長く見える黒い睫毛。横髪が落ちてきてうっすらと頬にかかる様もまたいい。すっと通った白い鼻梁の下にある赤い蕾は、流れるように言葉を紡いでいる。しかし折角二人きりなのだから、そんな小難しいことばかり喋っていないで、もう少し色っぽい語を吐いてもかまわないと思わないでもないが。ふと、視線に気づいたのか、孔明が顔を上げて此方を見遣ってきた。明らかにノートを見ていなかった馬超を知ると「ちゃんと聞いてましたか?」とムッとした表情を浮かべて詰ってきた。普段は大層大人びているのに、時折見せるそんな子どもっぽい表情がまた可愛らしいとつい馬超の頬も緩んでしまう。しかしそんな馬超の表情が癇に障ったようで、ぷいっと孔明はそっぽを向いてしまった。
「……また追試に受からなくても、知りませんからね」
どうやらこのままでは本当にへそを曲げられてしまいそうだ。
「それは困る。ちゃんと聞くから、もう一回教えてくれ」

懸命に頼みこむと孔明は、しょうがないですねとまた改めて解説をはじめてくれた。こういう所は孔明の優しい所だ。何回も何回も繰り返して、時には同じ部分を延々と、理解する角度を変えながら根気よく説明を続けてもらった結果、とうとう馬超はその問題を完全に一人で解けるようになった。教えていた孔明もようやく、今日初めてホッとした表情を見せた。これで再追試も安泰でしょうねと微笑んでいる。ふと、そんな孔明を見ていて思ったことがあった。

「――――孔明、」

「何ですか?」

「再追試に受かったら、キスしていいか?」


次の瞬間、丸めたノートで頭をベシンと一発ひっぱたかれた。そんなことをされたら折角覚えたことが頭から抜けるじゃないかと思って孔明を見ると、頬を真っ赤に染めて此方を睨んでいた。


「……それなら再追試じゃなくて、インターハイで優勝したらとか言ってくださいよ。馬鹿」


それだけ言うと孔明はまたもや顔を背けてしまった。しかしそれは先ほどとはまた違う意味だとは考えなくてもわかる。
「それもそうだな、すまない。」
じゃあインターハイで優勝したらキスさせてくれ、と言うと向こうを向いたままの顔が小さくこくりと頷いた。改めて、これはまずなんとしても再追試に受からなくてはなと思った。


と、そんな時。

「若ー!孔明殿ー!お疲れさまー!差し入れ持ってきたよー!」
「孔明殿一人では大変かと思ってこの趙子龍もサポートに来ました」
「委員長!微力ながら私にもお手伝いさせてくださいっ!」

従弟とクラスメイトと後輩と、ノックも無しにわらわらと三人も孔明の部屋になだれ込んできた。折角のいいところが台無しだ。しかし未だにほのかに色づく孔明の耳が、先ほどの雰囲気をほのかに残しているのかと思うと知らず、笑みが漏れてしまう。



後日、馬超はギリギリであったが再追試を合格することができた。孔明に教えてもらった問題はばっちりだったのだが、他三人が協力にきてからやったあたりが、どうにもさっぱりだったという。



《終》




タイトルも内容も何だか青臭~くてスイマセン(激震)
せめてタイトルだけはもっとどうにかしたいと思ったのですがこれしか出ませんでしたor2
とりあえず、バチョさんが優勝できたかはご想像におまかせします←
ふと某超有名バスケ漫画で赤点でインターハイ出れないかもしれない…みたいな話があったのを思い出してやってみました。バッチョさんもなかなか赤点が多いのではないかと思いまして←
ただ先にも書きましたが、実は馬超さんがアレ一体何部なんだか全然わかっておりません← あの格好は何部ですか(震)?
そして大徳工業に学生寮なんて勝手に作ってしまいまして(ヒー)
実はバチョの部活ってアレ何だろうと思って妹者に聞いてみたところ「帰宅部。あの格好はバイク通学帰宅部の本気装備」みたいなことを言われてしまったのでそれを回避するのに(とネタの都合で)寮を作ってしまいました(震)
なんかもう延々とぐだぐだしてしまいそうなのでこのくらいで。

ここまで読んでくださってありがとうございました(o・v・o)

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