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第一話 諸葛亮、趙雲とともに視察に出 凌統、風呂を勧めシバかれる

天下は曹丕・丁奉の国に二分され、曹丕の国に諸葛亮が登用されました。

「宜しくお願いします」

諸葛亮の天使の微笑み!

アブノーマルな武将達に10000のダメージ!

アブノーマルな武将達は諸葛亮に恋をした!


[第一話 諸葛亮、趙雲とともに視察に出 凌統、風呂を勧めシバかれる]

「孔明はいないか?」

曹丕が孔明、孔明と騒ぎながら城内を歩き回っている。

いつもながら迷惑なことだと思いながら溜め息混じりに健全思考や凌統は答えた。

「諸葛亮殿なら趙雲殿と一緒に領内の巡回にいきましたよ」

「馬を引け」

言うなり返事をした曹丕に凌統はまたはじまったよ、と言うような顔をしたがハイハイと返事ふたつに厩へ急いだ。そして

(てゆーか大都督のやる仕事じゃないよな?)

と心の中でツッコミを入れた。

あぁ、俺はなんて幸せ者なんだろう…。

趙雲は己の運の良さに感謝した。


うるさい殿達が遠征に出ている間に諸葛亮殿とデート(←本当は領内視察)できるなんて…!



ゆっくりとふたり並んで馬を進めた。たまに、ふとしたことで諸葛亮は馬の上でバランスを崩しかかる。

(一緒に乗りませんかって言おうかな)

とか趙雲は考えたりしていた。

頬を赤らめて、お言葉に甘えて。なんて言ってくれないだろうか(←変態全開)



「そろそろお昼にしませんか?」

趙雲は言った。

ふと気付いてみると日の出頃から出ていたにも関わらずもう太陽が空の真上にきている。

「そうですね。ではこの辺で」

諸葛亮が答えると、趙雲はひらりと馬から下り、諸葛亮の前まで手を持っていき、お手を、と王子様気取りに言った。

諸葛亮が頬を赤く染めめながら手を乗せた。

外見こそ冷静を装おっている趙雲だが中身はそうではない。


(まさにお姫様!!お姫様ですよ諸葛亮殿~!!!)


心なしか鼻息も少し荒い気がする。

趙雲は近くの木まで馬を繋ぐと優しく諸葛亮をエスコートし(場所は野っぱらだけどね)、なんともメルヒェンな切り株へと諸葛亮を腰掛けさせ、自分は地べたへと座った。

「そこでは趙雲殿の服が汚れてしまいます。私の隣へ…」

嬉しいことを言ってくれるが、ここは趙雲、漢を見せなければならない。

「いえ、それでは座る場所が狭くなってしまいます。私の服など、いくら汚れても洗えばすぐに綺麗になります。諸葛亮殿の服の方が汚れてしまっては大変でしょう?」

諸葛亮は、それではお言葉に甘えさせていただきますとはにかんだ笑顔と共に返した。


《趙雲の脳内》
もっと甘えてくれてもイイんですよ諸葛亮殿~~!!!ああこの人は本当なんて可愛らしいんだろう!!


それでは食べますかと、キュン死にしかかっている趙雲を他所に諸葛亮は弁当の包みを開け始めた。

だがこの時ふたりは全く気付いていなかった。ふたりの遥か後方の茂みからの視線に。

「おのれ趙雲~私が留守にしている隙に孔明を連れ出すとは~…」


茂みの中に隠れていたのは泣く子も黙る(?)美周郎。よくも私の孔明を~とぶつぶつ呟いている。

視線の先では相変わらず趙雲が孔明にべったりしている。ふたりは肉まんを食べ始めた。


孔明の手作りだったら許さん、とか美周郎が考えているまさにその時、事件は起きた。


「あ、趙雲殿、頬に餡が付いてますよ」


ふと諸葛亮はそんな声をあげた。

「え?何処ですか?」
趙雲は慌てて自分の頬を触った。それを見た諸葛亮は微笑し、そこじゃありませんよ。と言った。
「反対側です」
ふふ。っと何だか悪戯っ子のような顔をした。
まるで子供ですね。諸葛亮が言うと、趙雲は何か閃いたようだ。



「そうは言いますが、諸葛亮殿の方こそ…」

えっ。と今度慌てるのは諸葛亮の番だった。恥ずかしさ故か頬を桃色に染めわたわたしている。
趙雲はそんな諸葛亮に微笑みかけ一言。


「私が取ってあげますよ」



次の瞬間。



趙雲がちらりと視線を此方へ向けた。


思わずぎょっとした。


周瑜は隠れていたつもりだったが、趙雲は周瑜を見逃していなかった。趙雲の口元には不敵な笑顔が乗っている。


そして。

趙雲は諸葛亮の頬に唇を近づけ、そこで『ちゅっ』と小気味良い音を発てた。



つまるところ趙雲は頬についたものを取ると見せかけて諸葛亮にキスをしたのである。(ちなみに本当は諸葛亮の頬には何もついていなかった)



確信犯だ。



「あの、取れましたか?」

当の諸葛亮は趙雲がどういう方法でとったのかとかはどうでもいいらしくそんなことを聞いた。
微笑みを浮かべた趙雲は、ええ。ちゃんと取れましたよ。と返した。



ちなみに茂みの周瑜は。


「あのッ、変態色魔め!!よくも私の孔明を~~~!!!!」

怒りのボルテージが際限なく上がっているようで、今なら怒りのままにスーパーサイヤ人にすらなれそうだ。

しかしこれでも一応頭の良い方。
今すぐに飛び出して趙雲をぶっ倒して孔明を救うなんて短絡的なことはせずに機会を待った。


必ず、孔明をこの手で――。





「そんな茂みで何をしている?」


せっかく最後シリアスに決めていたのに急に声を掛けられた。

「うぉぅっ!その声は殿?!!どうしてこんな所に!?」

あまりに急だったため美周郎らしからぬ間抜けな声をだしてしまったがそれどころじゃない。


誰にも知らせずこっそり後を付けてきたはずなのに、何故殿がここに?!


「孔明を探していたらお前がいただけだ」

「何だそんなことですか…って殿も孔明ですか??!!」

「『も』だと?聞き捨てならんな…」

「あ゛!!いえそれは言葉のあやです!!」

「………そうか、言葉のあやか」
眉間に鯉が泳げるほどの深い溝を作りながら曹丕は周瑜を睨んだ。

疑ってる~!!!絶対的に疑ってるよこの人~~!!!



「そんなことより動きましたよ」

ここででしゃばってきたのが大都督・凌統。ちなみに凌統は曹丕の国建国当時からの重臣で諸葛亮に不埒な想いを抱いていない数少ない良心のひとりである。


先程まで諸葛亮と趙雲がいたところには木に繋がれた馬が何故か一匹残っているだけであった。

どういうことかと曹丕は聞いた。天気はいつの間にか雨が降り始めていた。


「殿と周瑜殿が喋ってる間に雨が降り始めましてね…」



《大都督・凌統の回想》


諸『あ、雨が…』

趙『降りそうだとは思っていましたが、強くなりそうですね』

諸『早く城へ戻りましょう』

趙『そうですね。……諸葛亮殿?』

諸『はい。なんでしょう?』

趙『私の馬に一緒にお乗りになって下さい。その方が早く帰れます』

諸『でも、それでは私の馬が…』

趙『貴方を城へ送り届けたら私が責任を持って連れて帰ります。さぁ早く。冷えて風邪をひいたら事ですよ』



「…とまぁこんなことがありまして」

ふたり仲良く同じ馬に乗って帰りましたよ。と凌統が語るや否や烈火の如く怒った曹丕と周瑜が馬に飛び乗り城へと駆け戻った。


しかし周瑜は忍んで来ていたため当然馬は連れてきていない。つまり周瑜が乗っていった馬といえば…



「あーー!!!俺の馬ーーー!!!!」



残された凌統は丁度いいやとばかりに諸葛亮の残していった馬に乗り城への帰路についた。




「殿のお帰りだー!!開門ーー!!!」


遠くに砂塵を巻き上げものすごいスピードで馬を駆けてくる曹丕を見て櫓の上の門兵は叫んだ。


その声を聞いた門番が急いで門を開け始めた。


少し錆び付いた重厚な音と共に扉が開くと同時に曹丕は先程からのスピードのままで門を駆け抜けていった。周瑜もそれに続いている。



門兵は呆気にとられた。



「……何なんだ一体」



とりあえず殿達は帰ったから扉を閉めようかと扉を閉め始め、あとほんの少しで閉まるところで櫓から声が上がった。


「閉門止めーー!!大都督がいらっしゃるぞーー!!」


え、と思い門の外を見ると確かに大急ぎで馬を駆っている大都督がいらっしゃるじゃないか。


ばしゃばしゃと泥水を跳ねながら大都督が門内に入った。



「いや~間に合った間に合った」


ありがとなと声をかけ大都督は後をさろうとした。



「あの、大都督殿」


失礼かとも思ったが聞きたくて仕方がなかった。


「先程、殿と周瑜殿が尋常じゃない勢いで帰ってきたのですが何かあったのですか?」


何か重大な出来事があったのではないかと思っていたら大都督はその不安を根こそぎ吹き飛ばすような笑い声をあげた。


「あれはいつもの諸葛亮殿の取り合いだよ」


ああ、そう言われれば殿達が帰ってくるしばらく前に趙雲殿と諸葛亮殿が帰ってきてたな。と頭の隅で考えた。



「……諸葛亮殿も大変ですね」



ぼそっ口にすると大都督は敏感に反応した。


「いや、本人は気付いてないみたいだから大変でも何でもないと思うぜ」


むしろ全員をフォローする俺のが大変だっつうの。と愚痴をこぼすと今度はゆっくりと馬を歩かせ厩へと消えていった。


「誰か、何か体を拭えるものを持ってきてくれ」

曹丕たちよりもひとあし早く趙雲と諸葛亮は帰城した。城のなかに入るなり趙雲は大声でそう呼ばわった。

全速で馬を駆けさせてきたが途中雨足が強まったので全身ずぶ濡れになってしまっていた。

小間使いからすぐに手ぬぐいが趙雲に渡された。

「さぁ諸葛亮殿」

すっと諸葛亮の方に手がのばされた。

何かと思いつられて手を差し出すと、思いもよらない趙雲の行動に瞬間言葉を失った。

趙雲は自らの体を拭うよりも先に、同じく水滴を垂らしている諸葛亮の体を拭いはじめたのだ。

これには諸葛亮も肝を抜かれた。

また、恥ずかしさから身体中が熱くなった。

「ち趙雲殿、自分で拭きますから…!」

「いえ、このまま私が拭きます。その方がご自分でなさるよりきっと早く済みますよ」

そうは言われてもである。布越しとはいえ身体中を撫で回されていて、くすぐったいようなむずむずするような感じがする。

諸葛亮の身体を拭っている趙雲の手がふいに脇のあたりを通過した。

「ん…趙雲殿、くすぐったいです」

「ちゃんと拭いておきませんと、あとで風邪をひきますよ」

趙雲の言葉は最もである。

しかしくすぐったいものはくすぐったいのである。

「ま…ってください…ふふ、くすぐった…あっ!」

思わずあがった自らの声を恥じ、諸葛亮はばっと身を趙雲から離そうとした。が、知らぬ間に趙雲の空いていた手が腰に回っていたため叶わず、そのままふたり見つめあってしまった。

(変な声をあげてしまった…)

自分に対して好意から良くしてくれているのに、自分は何という声をあげてしまったのだろうと恥ずかしさから顔を林檎のように真っ赤にした。

勿論、本当に只の好意からだけの趙雲の行為なら趙雲も驚くところだが、やはりそうではなかった。

顔では諸葛亮が急に身を翻そうとするのに驚いた表情を貼り付けているがそれを剥がせば諸葛亮から思わずあがった声にニヤリと不敵な笑みを隠せない自分がいる。


《趙雲の脳内》


やはり諸葛亮殿は脇が弱い…!



ギラリと肉食獣のように目が光ったが悲しいかな激しく動揺している諸葛亮はそれに気付かなかった。

「諸葛亮殿…先程の声は一体?」

わかっているのにわざと聞く。それが諸葛亮をさらに追い込んでいく。

「それは…」

頬を染めて言おうか言うまいかもじもじしている諸葛亮に、趙雲はさも今合点がいったかのように。

「まさか、私の手つきに感じてしまわれたのですか?」

図星を突かれ諸葛亮の顔は羞恥のため耳まで可哀想なほどに真っ赤にしてほとほとに困り果ててしまっている。

もうひとこえとばかりにさらに趙雲は追い討ちをかけようとしたが、ふいに複数の重苦しい足音が此方へ向かって来るのが聞こえた。

「孔明は……いるな…」

見るとずぶ濡れの曹丕が同じくずぶ濡れの周瑜を伴って廊の端に現れた。

曹丕の顔は明らかに不機嫌である。

ビチャビチャと水音をたてながら曹丕と周瑜は趙雲と諸葛亮のもとへ近づいた。

趙雲は未だ諸葛亮の腰を抱いていたが曹丕にジロリと一瞥され、仕方なしに手を放した。

自由になった孔明を今度はすかさず曹丕が腕の内に引き込んだ。

「顔が紅いな…何かあったのか?」

「…いえ、何でもありません…」

潤んだ瞳の諸葛亮を見て、貴様何をしたんだと言わんばかりの曹丕の強烈な目線が趙雲に注がれた。

「それよりも我が君のほうこそどうなされたのですか?」

ずぶ濡れですよと諸葛亮は曹丕の髪に指で触れた。

「少し散歩に出ていた」

「この雨のなかをですか?」

「お前だって似たようなものだろう」

少し離れた位置からふたりのイチャつき(むしろ曹丕が一方的にベタベタしてるだけだが)を見せつけてられている周瑜が割り込むように「こんな殿にかまってないでむこうでふたりで温まろう」と諸葛亮を拐おうとした。

「周瑜殿についていくなど、まったく何をされるかわかったもんではありませんよ!さぁ此方へ」

そこに趙雲まで加わってきてギャーギャー言い争っていると、

「諸葛亮殿」

向こうから凌統が呼びかけてきた。こちらへと来ると凌統は、あの三つ巴の戦いを見て唖然。そして、

「今、風呂の用意が出来たんで、どーぞ入っちゃってください」

と諸葛亮を誘って風呂場へ連れていってしまった。

少しして三人がその場に諸葛亮がいないことに気づき、回りの侍臣に聞くと凌統が風呂場へ連れて行ったと言われた。

あとで凌統が曹丕にシバかれたのは言うまでもない。

凌統「俺は何もやってないっすよ!!」




《終》

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