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事実は後からついてくる

現パロ司馬諸。酔った勢いでヤッちまったようです。短いです。





頬に当たる暖かな日差しと、鳥のさえずりで孔明は目を覚ました。
身体がだるい。まだまだ眠気も抜けない。もそり、と寝返りをうちもうひと眠りしようとしたら、ふいに耳に遠くからの軽い水音が聞こえた。
さわさわと耳に心地よい。再び眠りに落ちるには最適なその音。とろとろとまどろみに落ちている途中、しかし音は突如として止まった。そしてひたひたと響く足音、扉の音。

誰かがいる。

異様なその空気に孔明は慌てて布団を跳ねのけ飛び起きた。しかし孔明はまたおかしなことに気が付いた。壁、調度品、天井、そしてベッド。全てが見慣れない、初めて見る物。さらにどういうことか自分は身に何も纏っていないのだ。上半身だけならまだしも、下さえも着ずまさに一糸纏わぬその状態。一体、昨夜何がどうしてこうなったのか、まるで見当がつかない。しかし何が起きたのかは想像に難くない。
孔明は思わず頭を抱えてしまった。これはつまり、そういうことが昨夜あったのだとしか思えない。どうしようもなく顔が熱を持ってきた。まさか自分がこんなことをしてしまうなんて夢にも思っていなかった。相手が誰だかはわからないがどうやって詫びを入れようかと考えていたら、ふいに軋みと共にドアが開いた。昨夜、共に一夜を過ごしたこの部屋の主が現れた。シャワーの水気も残ったまま入ってきたその姿を見て、孔明はひどくうろたえた。

「し、司馬懿殿?」

驚きのためかひどく声がかすれて、うまく発声ができなかった。そんな孔明を見て司馬懿は少し眉をひそめ、無理をするなまだ寝ていろ、と跳ねのけられた布団をかけ直してやった。思いもよらぬ人物の登場に孔明はすっかり混乱しきってしまった。てっきり女性が出てくるかと思ったら、まさか男性――それもよく知った友人が出てくるとは思ってもみなかった。すると司馬懿はおもむろに孔明の額に優しく手のひらを押し当ててきた。
「熱は出てないようだな。安心した」
「あ、あの!司馬懿殿!」
「なんだ?」
間近で司馬懿の顔と対面して、異様に気恥しくて仕方なかったがそれでも意を決して孔明はこの状況を問いただした。
「覚えていないのか?」
一層に眉間のしわを深くする司馬懿を目の前に、孔明は恐縮しながら小さく首を縦に振った。その様子を見て司馬懿は、本当に覚えていないのかと念を押し確認を取ると、深い溜め息を一つついた。そして、いいかよく聞け、と。


「昨夜、私は貴様を抱いた」


恐ろしいほどに現実感のない言葉が孔明の鼓膜を震わせた。まさか、そんな、司馬懿と自分が寝るなんてことがあるわけが――――。
「昨夜、二人で飲みに行ったのは覚えているか?」
孔明は力なく首を横に振った。だろうな、と司馬懿。


「しこたま飲んで、貴様はもう立てないほどに酔っていた。貴様の家もどこか知らんし、仕方ないから私の家に連れてきた」
そして先に孔明の方から軽くキスをしてきたのだという。孔明には酔うと誰彼かまわずにキスをしにいく癖があるのはよく知っていたし、実際今まで何回かされたこともあった。しかし、それはいつも周りに誰かがいる時で、二人きりの時にキスをされたのは初めてだった。それに人が司馬懿しかいないからか孔明は執拗にキスをしてきたし、またねだってもきた。そうこうしているうちに孔明ほどではないにせよ、やはり酔っていた司馬懿の方にもなにやら妙な気が起きて来て――――もともと孔明に少なからぬ好意を抱いていたこともあって、つい抱きしめてベッドに押し倒してしまったのだ。押し倒されても何が起きるのかよくわかっていない孔明はまた司馬懿にキスをしてきた。それで、司馬懿の理性は最後の砦までも完全に崩落してしまった。


「――――すまないことをした」
沈痛な表情で詫びを入れる司馬懿を孔明は慌てて止めた。
「そんな、謝らないでください。話を聞けば、悪いのは私の方です。私が最初、そんなに酔わなければこんなことには――――」
懸命に司馬懿に配慮する孔明であるが、しかし常なら翡翠の転がるようなその声は、今は昨夜喘ぎすぎたせいで掠れてしまっている。そんな声を聞かされて、非を感じずにいるわけにはいかない。
「責任はとる。」
しかし勿論、貴様がそれを望まないならそれは貴様の意見を尊重する。
選べ、と司馬懿は孔明に問うてきたのだ。司馬懿の手を取るかそれとも、全てなかったことにするか。

孔明は、答える替わりに目の前の胸に飛び込んだ。




《終》



思い立ってふと勢いだけで書き始めました司馬諸でした。いや、正確には「最終的には司馬諸」ですね。

以前ツイッター診断で「孔明を落とす難易度レベルは『3』。酔った勢いで既成事実を作ってしまえば逃げられません。にやり。」と出たのをネタに書いてみました。どれかというと孔明の気持ちを多めに不慮の事故感を出してみたつもりですが、司馬懿さん視点を話の前後を入れれば完全に計算通りに孔明を落とす悪い司馬懿さんの話になってしまいます実は(笑)

まァとりあえず、既成事実を作って孔明を落とせたようでよかったね司馬懿さん。

ちなみに孔明キス魔は丈の考える孔明+酔で現れる特殊スペック候補の一つです。他にも色々候補はあったりしますハァハァ。



ここまで目を通してくださってありがとうございました!

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