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壁一枚向こうの話(メゾン・ド・漢中/現パロ)

壁を隔てたお隣が昼間から何やら不穏な気配です。気になる韓信はついしっかり聞いてしまいます。定番ネタです。





初夏よりも少し早い過ごしやすい時期。外は緑ゆたかな風吹く少し涼めの気候であるのに、韓信はそんな日も部屋の中に籠っていた。たまの休日。本当なら外に出て散歩もイイところだが、そんなことをしているとテストの採点が追いつかない。
 目前のテーブルに山積みにされた無機質な紙の山を見ながら韓信はため息をひとつ、持っていたペンを置き、背もたれに身体を預け、すっかり冷めたお茶をぐっとあおった。
 なんとも寂しい韓信の部屋。それとは対照的に、隣からは時折楽しそうな声が聞こえる。壁が異様に薄く、隣の部屋の音がほとんど聞こえてしまうことにも、もうそろそろ馴れてきた。耳をすませば愛らしい人の声が聞こえるとは、何て素晴らしい環境なんだろうと思うも、彼の人の愛が自分ではなく他の男にしか注がれないと思うともの悲しいものがある。
 今日は珍しく張良の伴侶が在宅のようで、二人重なった休日を楽しく過ごしているようだ。ご飯は何を作りましょうねなんて可愛らしい話をしている。
 あまり盗み聞きばかりしていると虚しくなるばかりだと、一息つくと韓信は再びペンを持ち紙の束に向かいあった。
ふと、韓信が再びペンを走らせてからほど時も経たず、隣の空気が変わったのが感じられた。
『そんな、今からですか?』
『やろうと思い立ったらやるのが一番だ。そら、早くしろ』
 困ったような張良の声と楽しそうな劉邦の声。韓信は思わずペンを止め、隣の音を聞き逃すまいと耳をそばだてた。
『やっぱり恐いです』
『大丈夫だ、ワシが保証する』
『でも、こんなにヌルヌルしてますし‥思っていたよりも固いです』
‥恐い?‥‥ヌルヌル?‥‥固い?
 一体何を、と想像を働かせながら韓信は椅子を離れ、一言も聞き逃すまいと壁に耳をつけた。
『まずはここをこう‥、そうだ、巧いぞ』
『う、‥我が君、やはり私にはまだ無理です』
『無理なもんか、もうこんなになっておる。今更止めるわけにはいかんぞ』
 これはまさか、と壁に耳寄せる韓信は隣の部屋で繰り広げられている様相にごくりと生唾を飲んだ。
 これは、こんな状況は、韓信にはもうアレしか想像がつかない。
『ゃっ‥、我が君っ!ど、どうすれば‥?!』
『自分で考えてやってみろ、お前ならもうできるだろう‥‥そうだ、かなり巧いではないか』
『ぁっ、どうしましょう、ヌメヌメが‥!』
 昼間から張良先生に何やらせてるんだあの親父は!と韓信は壁に耳ありの体勢で怒りを身の内にたぎらせた。が、それと共に怒りとは別の熱も高まってきてしまっていて、みっともないことこの上ない。
『子房‥、出るぞ』
『えぇっ!出るって、そんな我が君っ‥!ど、どう‥?!』
『あ、いかん。本当に出る‥』
『わ、我が君‥っ、やっ‥!』
 次の瞬間、液状のものが勢いよく発射されたような音が聞こえた。
 韓信が息を潜めてじっと壁に寄り添って隣の一部始終に固まっていると、何だか泣きそうな張良の声が聞こえてきた。
『‥‥このエプロン、気に入っていたのにすっかり汚れちゃいました‥‥‥』
『‥、ワシが責任もって洗うから、そう気落ちするな』
『でも、こんな真っ黒に‥‥』
『大丈夫だ、ワシに任せろ』
はた、と韓信は気付いた。
‥‥‥‥黒?
『我が君。私もう当分、イカなんて捌きません』
‥‥‥‥イカ‥‥?
 固い‥ヌメヌメ‥プシュッて、あぁ、墨袋を破いてしまったのか。何だそういうことか自分はてっきり‥‥あぁ、そういうこと。と、全てに合点がいった韓信はそのまま力なく壁にもたれかかるように崩れ落ちた。



《終》


お粗末様でした。

というわけで音ネタ定番の『濡れ場かと思ったら全然違いました』でした。やっぱりマッサージは王道なので外道を探した結果イカを捌くに決定した次第でありますが、やはりマッサージほどアレっぽい声は出ませんでしたね(´Д`)
それに何だか二人の会話もあんまりエロエロしく伝わらなかったんではないかと思っております(-_-;)

なんで張良スンがイカを捌かなくちゃならないのかというと、劉邦はイカ料理を食べたい、ってただそれだけです。
スンは魚はキレイに捌けますがイカタコにはまだ未挑戦です。
劉邦はたまに自分で食べるのに昔からイカタコも捌ける、とかっていうもう二度と使わないかもしれない設定←
劉邦に美味しいイカタコを食べてもらいたいスンは劉邦に捌き方をレクチャーしてもらったわけです。でもイカタコが恐いというスン。

こんな端っこまで読んでくださってありがとうございました(o・v・o)

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