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姫良・1 ※

史記を元に妄想を繰り広げて作ったオリジ張良話です。誰ととは申せませんが濡れ場がありますのでご注意を。



それはこれから満月へと向かっていく上弦の月が妖しく輝く夜であった。
闇のなか、張琢は木々の群れのなかから息を殺し、少し離れた所で焚き火を囲み乱痴気騒ぎをしている数人の男たちの様子を窺っていた。
焚き火を囲む男は全部で四人。張琢の力を持ってすれば捩じ伏せるのは赤子の手を捻るほどに簡単なごろつきどもである。
その四人の脇に大きな麻袋がひとつ置いてあった。
時折小さく動くこととその大きさからみて張琢はピンときた。人が入っている、そう思った。大の男が四人で、袋に人。というと大方何処かしらの村から拐ってきて、これからお楽しみでもしようかというところだろう。
酔いが回ってきたのか男たちが急に一段と騒がしくなった。呂律の回らない舌で何か騒がしく喚き散らしているが張琢にはそんなことどうでもよかった。
(全く、都合がいい)
一際冷たい風が張琢と男たちの間を吹き抜けた。

張琢は斉の国の人である。幼い頃から年輩の子どもたちより一際立派な体格をしており、今ではその体は八尺を超えるまさに雲に届かんばかりの大男になった。農事よりも武芸を好み、棒術や剣術など習ったが、特にその腕力を活かせる素手での格闘が得意だった。ある時はその柏のような手で人を十人も喰ってしまったような大虎を殺したこともあった。長じてからは見聞を広めるため諸国を遊歴し、ここ数年は東に住む倉海君という賢者のもとに身を寄せていた。
そしてつい先頃、倉海君に暇を告げ再びの放蕩の旅に出たのだが、路銀が残り少なくなったため山賊のふたりや三人でも絡め取って役所に突き出し小金を預かろうかとしている所であった。

―――パチリ。
一際大きく火が爆ぜた音が合図だった。
後は音も無かった。
闇から躍り出た肢体が風を斬るような速さで貧相な首を四つ作り上げた。


張琢は手に持っていた濡れた鈍色の刃物を捨てると、首をまとめておくのに何かないか辺りを見回した。すると先ほどの麻袋が目に入った。
あの袋を使うかと思い、まず袋から人を出すかと手を伸ばしたがふと止めた。ちらと後ろを見るとまだ仄かに温かみを遺しているだろう八つになった肉片があった。
袋に入ってるのは十中八九若い女だろう。ただでさえ拐われて不安に揺れているであろう女の目の前に四体もの死体とは。
(流石にまずいかな…?)
と先に手早く死体を片付けた。片付ける時に服の内側を探ってみるとやたらと重い財布がひとつでてきた。もう一度火が大きく爆ぜる頃には焚き火の周りは自分と麻袋だけになった。
開ける前に何か声をかけようかとも思ったがそのまま開け口を締めていた紐を緩めた。
砂に汚れた袋のなかから現れたひとを見て、満月でもないのに嫦娥が地上に降りてきたのかと思った。
月光の輝きよりも白い珠の肌、闇よりも黒い一目に触り心地の良さそうな豊かな髪、ふっくらとした桃色の唇に、すっと通った鼻、黒水晶のような強い煌めきを持った瞳。
「誰…?」
細い眉を寄せ、絶妙な音程の凜とした声が発せられた。声と格好で気が付いた、女ではない。
張琢は男の手足を縛っていた縄をほどいてやると先ほどの質問の答えを返した。
「俺は張琢って旅の者だ。あんたは、拐われてたみたいだが?」
それで男はハッとして辺りを見回した。自分を拐った賊がいないことに訝んでいるようなので、張琢が「俺が片付けた」と言ったら驚いたようで目を丸くした。しかし直ぐに冷静さを取り戻すと袋から出、地にきちんと座り直し、目の前の張琢を見据えた。
「私は姓は姫、名は良、字は子房という者です。危ないところを助けていただき、ありがとうございました」
「姫…?」
その姓を聞いて張琢はピンときた。姫といえば確か。
「周王室の…」
「私は、韓の国の者です」
今度は張琢が驚く番だった。
「韓だと?韓といえば少し前に秦に‥」
「滅ぼされました」

この年、六国のなかで最初に韓は秦に滅ぼされた。滅ぼした男は秦王政。ロウアイの乱の事後処理後、その頭角を現してきた彼は秦をそれまでよりもさらに強国へと昇華させた。六国が秦に滅ぼされるのは時間の問題と思われていたが、一番に毒牙にかかったのが姫良の故郷・韓だった。政によって姫良の故郷は秦に編入され、姫良の故郷はなくなった。


「私の家は韓の宰相の家でした。それに姓でわかると思いますが、韓の王族でもありました。だからかもしれませんが、」
パチリ、とまた火が爆ぜた。
「私は政が許せない」
ゆらゆらと火を写した瞳が張琢を射抜いた。
「必ず殺してやる、そう思ってきました」
それに必要な刺客を雇う金のために、残った家財一式全て売り払い、弟の葬式も出さずに、私は今日まで生きてきました。それなのに、
「立ち寄った町で賊に虜にされ、最早私の望みは全うできないものと思っていました」
それを貴君に助けていただいたのです。なんとお礼を申し上げたらよいのでしょうか、と姫良は言った。

ここまで聞いて張琢にはある考えが浮かんでいた。それを口にするかすまいか数瞬悩んだ。それを言葉にしたら、もう戻れないような気がしたからだ。何に戻れないのかはわからない。ただ直感で、戻れないような気がした。

「姫良さん、あんたは政を殺す壮士を探してるんだよな?」

気が付いたらその言葉が唇から零れていた。

「俺が政を殺してやる」

見詰めた姫良の大きな瞳が揺れた。

「張琢殿、貴方には恩義がある。貴方をこれ以上危険に巻き込みたくはない」
困った風な姫良の様子に思わず張琢から笑いが漏れた。
「俺が政を殺すよりも、あんたがひとり歩きする方が十分危険だと思うがね」
「冗談は止めていただきたい」
「冗談なもんか」
張琢は身を乗り出して目の前のえらく整った顔を見据えた。

「俺はあんたの目の前で政の息の根を止めてやる」

この男は本気だと姫良は思った。そして少し前に話したこの男の言葉を思い出した。自分を拐った四人を片付けたという、あの言葉だ。一対四であっという間に始末したとはかなりの腕前なのだろうと推測した。

「そこまでいうのなら張琢殿、貴方に刺客になっていただきたい。報酬は、賊のひとりが私の財布を掠めていったのですが…」
ああ、あれかと張琢は胸の辺りをごそごそ探り、件の財布を取り出した。
「それを全て差し上げます」
家財一切売りはたいて、弟の葬式も出さずに取っておいた金だという、張琢のような農民が一生真面目に働いても拝めないような金額だ。ずしり、と手に重いそれを張琢は姫良の方へ投げた。
「金はいらねぇ」
先ほどまで刺客を金で雇って政を殺す話をしていたのに、金はいらないとはどういうことだろうと姫良は眉根を寄せ、解せぬといった表情をした。まさか無償でということは万が一にもあるまい、とその顔が語っている。
姫良の面白い顔を見て、張琢は小さく笑うと話を切り出した。

「お前が欲しい」

それを聞くと、ますます解せないといった感じの顔が目に入った。
張琢は線の細い姫良の顎を優しく掴むと目線を外せぬように此方を向けさせた。
「お前を抱きたい、そういう意味だ」
それが報酬でどうだ?と言うと、ここまで直接的に言葉にしたのにまだ姫良は的を射ない様子である。
「抱く‥とは、男が女にすることではないのか?暗くて分かりづらいのかもしれないが、私はこう見えても女ではないのだが」
そのえらく真面目な答えに張琢は吹き出しそうになった。だが本人は一所懸命に考えたのだろう、口調がだんだんと砕けたものになってきている。張琢は空いていた左手を姫良の腰に回した。
「大丈夫だ。男でも気持ちよくなれる」
「そんなことを訊いてるんじゃな‥っ」
姫良の言葉が止まった。
張琢の大きな手が、胸元を暴き、侵入をし始めたからだ。
途端に姫良は目の前の男が怖くなった。これから自分は何をされるのか、全くわからない。


「ぃ嫌っ…、嫌だ、やめ…ッ」
張琢は己から逃げようとする姫良を土の上に押し倒し、体重をかけて動きを封じ込めた。潰された姫良の喉からぐうと詰まったような声が聞こえたが構わず張琢は胸への愛撫を続けた。姫良は嫌々と、のしかかる厚い胸板を押し退けようとしたが張琢にとってそんな細腕からの抵抗など抵抗ですらなかった。刺激を送り続けているうちに飾りに赤みが増し、ふっくらと盛り上がってきた。
「嫌だ、嫌…‥っあ!」
じゅるりと音を発てて突起を吸われた時、姫良の口からは自然と高い声が洩れていた。
姫良はわけがわからなくなった。何故こんな声が出たのか、どうして身体が熱くなっているのか、全くわからなかった。
「今のが気持ちいいってことだ」
わかるか?と上から声が降ってきた。張琢の指が先ほど口に含んでいた赤いものを弄りだすと不思議なことに先ほどの高い声がぼろぼろと溢れだした。
(気持ちいい…?)
もう片方の突起も口に含まれ、両方を同時に刺激されるとさらに高い声とともに、瞳にうっすらと潤みがでてきた。
捏ねて、揉んで、そして吸う。それを繰り返されるうちに姫良の一挙手一投足はじわじわと艶を帯びていった。
(もっとしてほしい…)
姫良がそんなことをぼんやり考えていた時に上から声が降ってきた。
「気持ちいいか?」
張琢が聞くと姫良は至極小さく、ひょっとすれば見落としそうなほど小さく首を縦に振った。それを見て満足げに張琢が精悍な顔を崩して笑うものだから姫良は本当顔中真っ赤になるくらい恥ずかしがった。
そして遂に張琢の手が下衣に隠された部分に及んだ。裾を払うと下帯を外し、形を変えていた姫良のものを外気に晒した。
己の一番恥ずかしいところを見られた姫良は激しい羞恥にかられ張琢から逃れようとしたがその引き締まった太い腕から逃れることはできなかった。すかさず節くれだった指が自身を扱きだした。
「あぅっ‥!あっ、アァ!」
他人に触られたことなんて勿論ないものだから姫良は初めて感じる快楽の奔流にただ身を委ねることしかできなかった。
「ぁアっ、ンッ!ハァ…アッ、ああっ‥!」
羞恥なんて感じる余裕は無く、押し寄せる悦楽に揺すられ目の前のひとにすがり、歓喜の嬌声を溢した。自身から溢れ出た透明な液が下腹部を厭らしく照らつかせた。
張琢はその先走りをたっぷりと滴るほどに指に絡め、この先の準備をした。にちゃりという粘着質な音を発て指を熱から離すとそれを後ろのまだ初な蕾に当てた。
とんでもない処に指を当てられて姫良は身体中から一瞬で熱が引くのを感じた。
「いいか、ゆっくり息を吐け」
宥めるように張琢はその形の良い耳元に熱い声音を送りこんだ。
姫良は、やはりまだ怖かったがとりあえず言われた通りにしようと、言葉通りにゆっくり息を吐いた。
それに合わせて張琢の指が姫良の後庭を犯した。一本挿れるだけでもきつい。張琢の太い中指がゆるゆると蕾に埋め込まれていった。
「ぃっ‥痛っ、痛いッ、張琢‥!」
しかし指がまだほんの先の方しか挿入っていないにも関わらず姫良がひどく痛みを訴えたのには張琢も少し困った。必死の思いで張琢を押し退けようとする白い腕を払いのけ、張琢は空いていた手で姫良の快楽を誘い出そうと萎えかけていた中心に再び刺激を与えた。
「ンッ‥いやっ、張琢!アッ、アァ!」
姫良がまた快楽に溺れ出すとすかさず張琢は指を蕾の奥へ進めた。腰が少し逃げるような素振りをみせたが、今度は痛みはあまり気にならないようで変わらずに甘い喘ぎを溢していた。
「あっ、はぁ‥あ、ンっ」
根元まで挿入した指で奥を拡げるように動かすと時折そちらの刺激で感じているような声をあげた。


自身を扱く手を止めず、張琢はく咥えさせる指の数を増やした。ゆっくりと時間をかけ、三本咥えた所で漸く姫良自身から指を離した。
悩ましげに眉を寄せ潤んだ瞳で此方を見つめ、上等な絹の服が珠の肌に申し訳程度に絡みつき、自身からはだらだらと先走りを垂らし股をびちゃびちゃに濡らして、男の指を厭らしく後庭で咥え込む様は今まで見てきたどの女や男よりも淫猥で扇情的で、張琢は自分が酷く興奮していることに気が付いた。
「絶景だな…」
熱っぽい声でため息とともに呟くとすぐに熱に浮かされた姫良から非難の声があがった。
「どういう意味…ッア」
「厭らしいって意味だよ」
「あんっ、んっ、動か、さ‥っあ、いで…!」
ナカの刺激で姫良が乱れだした。先ほど発見したいいところを狙って指で擦ると姫良は酷く腰にくる声をあげた。
「ンッ‥も、ゆび‥やだ…あンっ!お、かしくなる…ッ!」
「おかしくなるって何がだ?」
低く優しい声を姫良の耳に送り込むと蕾がぎゅうと指を締め付けたが張琢は絶えずナカをかき混ぜ続けた。
「はァッ…ンっ、アっ、声、止まらない‥っあぁん!」
涙ながらに姫良はその大きな身体にすがりついた。ぼろぼろ零れるその大粒の涙が張琢には快楽の涙にも、恐れからの涙にも見えた。
「大丈夫だ、何もおかしくなっちゃいない」
ほんの少しの力で壊れてしまいそうなほど華奢な肩をぎりぎりの強さで張琢は抱き返した。張琢の日に焼けた黒い肌が姫良の白珠の肌に密着した。
「もっとその声を聴かせてくれ、」
姫良。と情欲に濡れた声を耳に送ると姫良は悩ましげに眉を寄せ、白い首筋を惜しげもなく晒け出し、唇から熱い息を漏らした。
「っア、あぁっ、…ハァア、あッ…!」
指を濡れそぼった後庭から引き抜く瞬間、名残惜しげに皺が絡み付いてきた。興奮を隠しきれないまま指を抜いた張琢は代わりに、脚の間でいきりたつ硬い熱棒を綻んだ蕾に当てがった。
途端に姫良の肩が大きく震えた。
「ち、張琢‥」
黒曜石に潤みが増した。その潤みは恐怖か、期待か。
「力抜けよ。今に、最高にヨクしてやる」
張琢がゆるりと腰を進めると特にたくましい先端が後庭を犯し始めた。指よりもはるかに太いものの侵入に、姫良は完全に恐怖を感じてしまった。しかも張琢を見ようと顔をあげた瞬間、その長く太く黒い張琢自身を見てしまい、全身から一気に熱が引くのを感じた。
「だ、ダメだ!そんな、入るわけない!」
「力抜け」
「嫌っ‥嫌嫌ッ!張た‥!!」
張琢の唇が姫良のそれを塞いだ。熱い舌が姫良の口腔に侵入してきた。
「んぅっ‥ンフ、ゥ‥ンッ」
ちゅっと音が聞こえるほど強く吸われたかと思ったら、今度は絞るように絡め取られ、歯列をなぞるように舐められたらそれだけで姫良は昇天しそうになった。
流れ込んだふたり分の唾液を旨そうに姫良が喉を鳴らして飲む音を聞き、張琢は再び熱杭を蕾に埋め込みはじめた。
「ンッ‥んんん!」
熱が貫きを再開するとやはりまた腰が逃げの姿勢を見せた。しかし今度の張琢は姫良の細腰を逃さずに、口づけも離さずに、そのまま姫良を貫いた。
熱の全てを収めきったところで漸く張琢は唇を離した。離した瞬間舌と舌に透明な糸が架かった。
「ハァッ、はぁ、あっ、ち、ちょうたくゥ‥」
姫良は目の前の鍛えられた肩にすがりつき、ふるふると身体を小刻みに震わせて初めての感覚に耐えていた。
そんな姫良を見ていると張琢はすぐにでも攻め立て、その喉から甘美の声を搾り取りたいと思ったが、身体のことを思いすぐには動かず、代わりに息をするのも惜しむような深い口づけを施した。
「ンフ‥、っぁ、ふぅ…」
舌を絡め、吸い上げると姫良から鼻にかかった声があがり、ナカが絞るように張琢自身に絡み付いた。魅惑的な刺激に張琢は太い眉根をしかめ、腰を打ち付けたい衝動に耐えた。唇を離すと唾液がふたりを結んだ。
「っア、ン!だめっ‥そこはァ…!」
熱い指が再び姫良の胸の赤を攻めだした。くりくりと先端の敏感なところを弄られると堪らないのか姫良は艶めかしく腰をくねらせ快楽に耐えようとした。ナカは張琢を締めるのを止めず、張琢はあまりの締め付けに溜め息をついた。
「動くぞ」
一声かけてから張琢は遂に腰を使って姫良を攻め立てはじめた。


「ンっ、ンッ、やっ‥やだっ‥!」
異物感と腹腔を押し上げるような圧迫感に耐えかね、姫良は涙声を上げて張琢に訴えたが、攻めが緩むことはなかった。
「ぅっ…もぅ、‥っアァン!」
ある一点を擦られた瞬間、姫良から一際甘い声が上がった。姫良自身も今までとは違う背筋を駆け上がる痺れるような快感に戸惑いを隠せなかった。
戸惑いのままに張琢の顔を見るとざわりと姫良の珠の肌が粟立った。にやりと弧を描いたその酷く満足げな雄の笑みと情欲の灯った熱い瞳を見たからだ。
「ヤっ‥ちょぉ、ああッ!アッ、ひあァッ!」
すかさず張琢が激しく腰を振りはじめた。ナカの性感帯で感じる目眩のするような甘美な刺激に自制を失った姫良の口からは淫媚な声と透明な唾液が流れた。
「あ、ハァ!ンっ、アァッ、あ、はぁんッ」
姫良の指が張琢の引き締まった背に爪を立てた。ピリッとした刺激を感じて張琢は雄芯の出し入れをさらに激しいものにした。
「あぁッ、アッ、ひあぁっ!」
馴れてきたのか姫良はさらなる快楽を求めるように張琢に合わせ自ら腰を振りだした。
「アんっ!ンンッ、アッ、イイッ!はあぁあん!」
根元まで熱い内壁に咥えられ張琢も堪らない快感に頭がくらくらした。一際深いところを突いた時に姫良から声が上がった。
「ハァっ、ア、もっと‥はぁっ、ほしぃっ!ちょ、たくッ、ひァ、アアっ!」
「ハッ、清楚な見た目で、とんだ淫乱じゃねぇか‥!」
張琢の額に汗が流れた。
「あふッ、あっ、はあああッ!」
腰の動きを止めずに張琢は武骨な指を、先走りをだらだらと垂らす姫良の張りつめた熱に絡め扱きはじめた。あまりの悦楽に姫良の瞳からは自然に涙が溢れた。
「あ、はあっ、あンッ!アァッ、ああぁっ!」
いつの間にか姫良の長い脚が張琢のたくましい腰に絡み付いていた。ぎりぎりまで引いて、根元まで埋め込むのを繰り返すと遂に姫良から限界を訴える声が上がった。
「ヒアアッ!アッ、はあっ、やァっ、ンっ、ア、なにか、でちゃうっ‥ッアアン!」
「ッ、出しちまえよ」
最後の絶頂に上り詰めるよう、一層激しく腰を打ち付けた。肌と肌がぶつかる肉の音が一際大きく聞こえた。
「あぁっ、あッ、アっ、アアァアァッ!」
「くっ‥!」
姫良自身から熱い白濁が吹き出し、ふたりの腹を汚した。同時に張琢も溢れんばかりの大量の精液を狭い肉筒に注ぎ込んだ。

達した後、姫良は気を失ってしまったようでぴくりとも動かなくなった。息はちゃんとしているようだったので張琢はほっと胸を撫で下ろした。
自分の身体を清め、姫良の身体も清めてやると、その身体をもとの絹の服の包んでやった。長衣なんてどう着せたものかよく分からなかったが見よう見まねで着せてみた。
焚き火はもう燻るだけの火になってしまっていた。この辺は何か獣が出るとは聞かないので大丈夫だろうと燻るままにしておいた。

月の光もあまり無いなか、白く浮かぶ姫良を見て張琢は先ほど戻れなくなるのではないかと思ったものが何だったのか気付いた。

この強い瞳に魅せられ、妙なことを自分から言い出して、この身体を抱いた。

(もう戻れない…)

あのまま、助けただけで別れていればまだ戻れただろうが、今はもう戻れまい。


もう自分も寝ようと姫良の細い身体の横に自らの身体を横たえるとそのまま横の身体を抱いて目を閉じた。


先に目を覚ましたのは張琢だった。日はまだ頂点に達してはいなかった。寝る前に腕のなかに収めた身体はそのまま行儀良く収まったままだった。
桃色の唇を見ていると少し悪戯心が起こった。
まだ目覚めていないふんわりとした唇に己のそれを被せてみた。舌をいれるようなことはせず、音を発てて表面を吸った。何回か繰り返すうちに白い手が張琢の腕を掴んで、目を開けた。澄んだ黒が張琢を見据えた。
「寝覚めはどうだ?」
口角を少し上げて張琢が聞くと掠れた声が返ってきた。
「……最悪」
張琢は声を上げて笑い身体を起こした。姫良もつられるように起き上がった。
「じゃあ昨夜は?」
「昨夜…?」
そこまで言うと姫良はみるみるその白い顔を真っ赤に染め上げた。全部は覚えていないが断片的に残った昨夜の痴態の記憶を思い出して何だか泣きそうになった。
「初めてだったのか?」
張琢が聞くと姫良は小さく頷いた。と、ここでふいに張琢はあることが気になった。
「そういえば、歳はいくつなんだ?」
「……十五」
「十五…?!」
これには張琢が驚いた。まさか秦王に復讐を企てようとする男がまだ十五だとは思ってもみなかった。
(待てよ、俺より十三も年下なのか?)
張琢は確か今年二十八になった自分を思い出した。
「そういう自分はいくつなんだ?」
今度は姫良の方から質問が飛び出した。
「………二十八だ」
「ふん、年寄り」
その瞳がえらく挑発的に誘っているようにも見えた。
「お前昨夜と大分態度が違うじゃねぇか」
「これが私の地だ。昨夜は助けて貰ったから、しおらしくしてただけだ。これから長い付き合いになるんだから、さっさと地を出した方が私もお前も楽だろう?」
その言葉に驚いたのは張琢だった。昨夜あんなことをしたものだからひょっとしたら朝にはもう別れを切り出されるのではないかと思っていたのに、姫良の方から長期的な関係を言い出してきたからだ。
「で、これからどうする?」
長衣の着せ方に一通りの文句を出し尽くした姫良が身を乗り出して聞いてきた。ふたり旅になったからには民主的に物事を決めようとしているのだろう。
「昨夜の首を金に換えに一先ず近場の町に行かねぇか」
金は姫良が腐るほど持っているが、このままでは昨日の四人の賊は一体何のために死んだのか。
「そうだな。そうするか」
姫良の答えを聞くと張琢は立ち上がって、昨日姫良が入っていた麻袋をひっ掴むと遠くに置いていた首を四つ、無造作に袋に入れた。
戻ってくると姫良はまだ座っていた。どうした?と問うと眉を寄せ、困ったような顔をして言った。
「………立てない」
昨夜あれだけ激しく事を行なったものだから、立てなくなるのも無理はないかもしれない。
張琢は姫良の前で後ろを向きしゃがむと「乗れ」と声をかけた。
「嫌だそんな、恥ずかしい」
「なら前でこうやって抱えてやろうか?」
と張琢は振り向いて女を抱き上げる時のような身振りをしてみせた。
「……背中でいい」
「よし、じゃあ乗れ」
姫良がその広い背中に乗ると張琢は軽々と立ち上がった。
「これじゃ今夜はヤれねぇかな」
「お前っ、今夜もする気だったのか?!」
無理だ無理!あんなの、連日してたら此方の身体がもたない!という言葉を背中に受けながら張琢は森から町への道を探しはじめた。
少し経って姫良は落ちないように逞しい首にすがりつくと「町に行って、そのあとはどうする?」と聞いた。
「その後は…そうだな、楚に行こう」
「楚に?」
南の大国・楚。領土だけなら秦よりも広い。
「政を殺す前にお前はもっと世の中を見るべきだ」
政が壊す前の世の中を、と言うと張琢はさらに「寝てもいいからな」と言った。
「余計なお世話だ」
そうは言ったものの昨夜の行為は余程身体に負担をかけたようで、揺れのためか張琢の肌の温かみ故か、姫良が張琢の背中で眠りに落ちるのに然程時間はかからなかった。
安らかな眠りを起こさないように、張琢はなるべく揺らさないように気を付けながら町への道を進んだ。


《続》


史記の留侯世家を読んだらムラムラと書きたくなったネタです。
そして再三にわたり日記で出現をほのめかしていた男はこんな奴だったわけであります。ええ、例の博浪沙で張良スンと共に始皇帝を襲った大力の士です。
張琢って名前は丈が勝手につけました。横光の「項羽と劉邦」だと「それがしの姓は黎と申すが常に海辺に住んでいるので人々からは蒼海公と呼ばれてござる」って言ってるんですけど史記では「(張良スンは)東方におもむいて蒼海君(東夷の君長。一説によると当時の賢者の号)に会い、大力の士を見つけだして」としかないんで姓からもう勝手につけはじめた次第でございます。
一応、字も考えてあげたんですけど出る機会はあるんでしょうか、今の丈にもわかりません(エ)
もちろん張琢の自己紹介文も丈の創作なんであしからず。
張琢の身長8尺超えっていいましたが、1尺=23.1㎝で計算してます。何気周の尺じゃなくて秦の尺なんですけどね←本当なんでだ
なので8尺超えは184.8㎝超えということになります。マジでデケェな。スンは今んとこ160㎝くらいでイイんじゃないでしょうかね。成長期なんでそのうち伸びると思います。
張良スンがこの話では姫良スンになってますがこれに関しては張良スンの説明に「韓の公族。姫姓。秦の始皇帝の探索をのがれて張と改正」って書いてあったんでそこから姫良スンになっております。
ちなみに姫良スン15才にしてありますが、丈が偽造しました。
本当なら韓が滅亡した時点で最低でもハタチ過ぎてるはずなんですよ。史記によるとスンのお父さんが死んでから20年たって秦が韓を滅ぼしたらしいんで15才はあり得ないんですよね(笑)。でも丈の欲望のために15才になってもらいました。ゴメンね、スン(o・v < o)-☆ ←謝る気0だ
あ、張琢の年齢は度々自分で描いた絵を見て28だと思ったんでそれで決定しました(適当だなァ)
韓が滅亡してすぐに姫良スンと張琢と出会ったことにしてるんで秦が統一するまであと9年あるんですよね。とりあえずあと9年はふたりらぶらぶ(?)な旅を続けていく予定です。
あ、そうそう、スンの処女は張琢に奪われたわけですがそれによってスンはかの有名な「童貞だけど処女じゃない」状態になったということです。


長々と書きましたが、ここまで付き合ってくださりありがとうございました。ツッコミなりなんなりございましたら拍手なりメールなんなりでお知らせくださいませ。

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