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孔明の天気予報

馬孔短編。バチョ視点です。現パロですが細かい設定はありません。とりあえず二人は同居してます。



珍しく彼と休日が重なった。
ここのところ職種の違い上、休みが重なることが極端に少なかった。重なっても半日だけ、午後から俺は仕事。そんなこともざらにあった。まともに休みが合ったのは三月ぶりのような気がする。だから何処かに出かけないかと誘ってみた、すると彼は嫌だと言ったので理由を聞いてみた。

「明日は午後から雨になるから嫌です」

俺は眉間に力が入るのを感じた。なぜなら、彼の横の液晶パネルからは、愛想笑いを浮かべた気象予報士が「明日は一日、さわやかな秋晴れになるでしょう」と言う声が聞こえたからだ。



翌。
光遮カーテンを開けると澄み渡った青空が広がっていた。よくよく見るとぼんやりだが富士山も見てとれる。
「孔明、」
俺はまだベッドで寝続ける恋人の名前を呼んだ。
「晴れてるぞ」
すると彼は朝の光から逃げるようにもぞもぞとタオルケットに頭まですっぽり潜ってしまった。
それきり動かなくなった彼に業を煮やした俺は、頭の方の布を思いきり捲ってやった。
「‥‥晴れてるぞ」
不満げな顔が俺を見つめる。寝起きでも変わらない可愛らしさに、誘われるように口づけをしようとしたら枕を抱いてそっぽを向かれてしまった。
「‥‥‥‥雨になるのは午後からです。午前は晴れます」
とことんつれない恋人に少しむかっ腹がたってきた。「孔明、」と強めに名前を呼ぶと眠そうな舌足らずな返事が返ってきた。
「ごめんなさい孟起。すごく、眠いんです。ですから、午前中は、寝かせて‥‥、午後は‥ちゃんと、起きますから‥‥‥」
それだけ告げると力尽きたように言葉は終わった。代わりに深い寝息が聞こえるようになった。
どうやら彼は、今日は心底、俺と何処に行く気もないらしい。
彼の態度に多少苛つくものを感じたが、とりあえずこのまま寝かせておくことにした。確かに、夕べは明け方近くまで繋がっていたので、身体的に辛いのだろう。
幸い、彼の予報では午後からが雨らしい。しかも彼は午後には起きると約束までした。だからとりあえずにも俺は彼の言を確かめるため、待つ間は非常に面白くないが、彼の再びの目覚めを待つことにした。



「――――ね、言ったでしょう?」
掛布の中からの呼びかけに、ベッドに腰かけた俺は半ば呆然と窓の外を眺めるしかなかった。
どしゃ降りの雨。
朝には富士山も見せていた空は、すっかりにび色のカーテンで覆い隠されていた。風向きが変わったらしく、ぴしぴしと音を発て窓に雨粒が当たる。
「出かけなくて正解でしょう?」
自信家な瞳が俺を見つめてきた。確かに、彼の言う通り、出かけなくて正解だった。しかし、何とも疑問が残る。気象予報士でもない彼にどうしてこれほど正確に天気がわかったのだろうか。俺に内緒で自分用アメダスでも置いているのだろうか?
聞きたいことはたくさんあったが、漸く彼も起きたし、今日は家から一歩も外に出る気はないようだから、俺はその身体に覆い被さることにした。たまの休日、もう半分過ぎてしまったが、もう半分は彼を愛することに費やそうと思った。



《終》




めずらしく短編です。しかも馬孔です。うちで馬孔の需要がどれだけあるのかはわかりませんが(需要あるのかな?)、自分で見たかったので自家発電してみました。
現パロですが一発ネタなので深い設定はありません。
あ、孔明、マイアメダスは持ってませんよ(笑)孔明はお空を見ていれば天気がわかるんです。
とりあえず自己満足完了(*´v`*)

ここまでお付き合いくださってありがとうございました!

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